スカートのビッド

この記事はTrick-taking Games Advent Calendar 2020の6日目のために書かれたものです。2019年のAdvent Calendarに書いたアプリで始めるスカートの続きになります。

スカートは一人のプレイヤーが攻撃側(デクレアラー)になり、他の2人がそれを阻止するゲームです。攻撃が成功しても失敗しても得点が変わるのはデクレアラーだけなので、ゲームに勝つためには勝てる手札で攻撃を宣言することが大事です。

スカートで攻撃を宣言するときには様々な方法があります。プレイヤーは手札を見て、切り札を決めて戦うソロ、B(トランプのジャック)だけを切り札にするグランド、1トリックも取らないヌルの中から勝てそうなゲームを選んでビッドに参加します(もちろん、どのゲームでも勝てそうにない手札だったらパスしてビッドから降ります)。

どの手札でも勝てるゲームがあるのがスカートの面白いところですが、その自由度の高さゆえに初めて遊ぶときはどのような手札のときにビッドして、どんなときに降りるのか判断が難しいです。この記事では手札を見てゲームを選ぶときに参考になりそうなことをいくつか説明したいと思います。

1. 手札の強弱とは
他のトリテと一緒で、スカートも強いカードを多く持っているときに勝てる確率が高くなります。それでは強いカードとはどのようなものでしょうか。実は手札の強さは宣言するゲームの種類によって変わります。

手札をもらったとき、まずBのカードが何枚入っているかを見ます。Bはソロでもグランドでも切り札であるため、いつでも強いカードです。この手札ではBが4枚入っているので強そうに見えます。

しかし、強いカードを4枚持つだけではゲームに勝てません。カード点数の120点のうち、61点を取らないと攻撃が成功しないため、せめて手札の半分以上は強いカードがないと安心できません。多ければ多いほどいいです。どうすれば強いカードを多くすることができるのでしょうか。

答えは手札に多く持っているスートを切り札にしてソロゲームを宣言することです。今の手札にはクラブが3枚入っているのでクラブのソロゲームを宣言してみましょう。

2枚のスカートは取らずにクラブのソロを宣言しました。これで切り札が7枚になります。10枚のうち7枚切り札があればイケそうな感じがするのでこれでプレイしてみます。

なんとカード点数106点を取って攻撃が成功しました。シュナイダー達成で切り札も上から5枚あったため高得点になります。

このように、手札に多く持っているスートを切り札として宣言することでソロゲームに勝つ確率を上げることができます。とくにBは最強のカードなので多く持っているときは積極的にビッドしましょう。経験的には切り札だけで7, 8枚あればソロのハンド(スカートを使わない)を宣言してもいいかなと思います。

切り札だけが強いカードではありません。次は2枚のスカートを使うビッドについて説明します。

2. スカートを活用したビッド
いつも7, 8枚の切り札が手札で揃うとは限りません。そういうときは2枚のスカートを使って手札を強くすることを考えます。

このような手札になりました。Bとスペードを合わせても5枚しかないのでソロゲームを宣言するには物足りない手札です。でも降りるのも惜しいのでとりあえずビッドしてみます。

相手がパスして自分がゲームを選べるようになりました。スカートをめくったら、幸運にもBが2枚手に入りました。これで切り札が7枚になりました。スペードのソロゲームを宣言すると勝てそうです。

結果は99点獲得で攻撃成功です。このように強いカードがスカートに眠っているときがあるのでそれをうまく使って手札を強くすることができます。しかしこれは運次第なので必ずしも成功するとは限りません。



この手札ではBとハートが6枚入っているのでスカートを使ってもう一枚強いカードが入ればゲームに勝てそうです。しかし、スカートの中にはハートのカードが入っておらず、6枚で勝負した結果、惜しくも攻撃に失敗しました。

このゲームで負けた理由はそれだけではありません。手札に切り札を多く持っているのが一番大事ですが、他のスートの強弱も考えないといけません。他のスートでAを1枚でも持っていたらぎりぎり61点を超えていたかもしれません。手札の10も強いカードですがAを出されたときは負けてしまうのでかえって危険な場合もあります。

このような手札のときにハートもダイヤも3枚なのでどちらかを切り札にしてソロを宣言したいです。スカートの中にどちらかのカードが一枚あればいいのでビッドに参加します。

ダイヤのD(トランプのQ)とクラブのAが入ったので切り札をダイヤにします。

97点を獲得して攻撃が成功しました。攻撃が成功したのは切り札が7枚あったこともありますが、クラブとハートのAがあったのも大きいです。また、スペードのスートを持っていないので相手がスペードのAや10を出したときに切り札を使って刈り取ることができました。

このように手札の強さは切り札の枚数だけでなく、切り札の他に強いカードがあるか、スートが偏っているかによっても変わります。まとめると下のような評価ができます。

- 切り札:一枚あたり+1
- 切り札以外:Aから強い順に持っていれば一枚あたり+1
- どれかのスートを持っていない:そのスートのAか10がとれるかもしれないので+1

以上で判断して手札の評価が+7~+8以上あればソロゲームを宣言してもいいと判断します。逆に下のような場合はマイナス評価です。

- 10が一枚だけ:Aに取られるかもしれないので-1

+7~+8でかならず成功する保証はなく、プレイの仕方や相手の手札次第で失敗する場合もあります。目安として使ってください。

3. グランドのビッド
ソロゲームは強いカードを集めやすいので成功しやすい分、ゲーム点も(グランドに比べて)低いです。手札が強いときはグランドを宣言して高得点を狙ってみるのもいいかも知れません。

グランドを宣言する条件は

- すべてのスートがAから始まる
- Bが2枚以上ある(他のBを刈り取れるので)

が望ましいです。手札の評価方法を使って上の条件を満たしつつ+7~+8の手札だったら宣言してみましょう。

Bが一枚もなくても運が良ければグランドが成功する場合もあります。上のような手札はすべてのスートのAを持っていて評価は7より低いのでハートのソロゲームにするのが安全です。ハートが切り札だと7と8もプラス評価に加わり、+8になります。グランドをやるつもりで手札を見ると強いカードはAと10しかないので+6になります。

91点を獲得して難なく攻撃に成功しました(スカートの中にハートのKとクラブの10があったので評価が+10に増えたのが大きいです)。でもせっかくすべてのスートにAがあるからグランドを宣言してみたくなります。

スカートを使った手札はこのようになり、ハートのKとクラブの10が増えたので評価は+8になりました(各スートのAと10、ハートはKも含む)。Bが一枚もないのが怖いですが、やってみます。

相手がBを均等に持っていたことなどもあり、ぎりぎり成功しました。Bが一枚もないのでwithout 4が成立し、ゲーム点120点という高得点がもらえます。ハートを切り札にして無難に60点を取るか、リスクを取って120点に挑戦するか(失敗すれば-240点)、これがスカートの面白いところでもあります。

この記事で書かれたことはコントラクトブリッジのプレイやスカートの本を参考にしたものです。評価点+7,+8は経験によるものであり、相手の手札とプレイによって結果は変わります(私は+7でも降りることが多いです)。

手札の評価方法を覚えておくと他のトリテを遊ぶときにも役立つと思うので参考にしてみてください。なによりもスカート面白いのでこの機会に覚えて一緒に遊びましょう!

今年は色々なことがありました。人生の中でも記憶の残る一年になると思います。来年もおそらく同じような状況が続くとは思いますが、みなさんにとってより良い一年になるように祈っています。

メリークリスマス、良いお年を

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