アプリで始めるスカート


この記事はTrick-taking Games Advent Calendar 2019の8日目のために書かれたものです。スカルキングなどのトリテを遊んだことがあり、切り札やマストフォローの用語がわかる方向けです。


2日目で紹介したゲームの中にスカートというものがあります。ドイツの伝統ゲームで、今でも遊ばれている代表的なカードゲームです。知り合いのドイツ人の方々だと、ボードゲームはやったことがなくてもスカートならやったことがあるということが多かったです。日本の大富豪や花札に似てるものなのかもしれません。


ボードゲーム本場のドイツでもっとも遊ばれているトリテと言われ、一体どんなゲームなのか知りたくなってgamefarmや本を読みながらルールを理解しようとしたのですが、覚える要素が多すぎてとてもプレイできる気がしませんでした。



2年前に機会に恵まれてインストを受けながら遊んでみたのですが、ルールは分かったものの、どうすればいいのかわからないまま終わってしまいました。ちなみに私が人とスカートを遊んだのは今のところこの日だけです。

そのあとアプリで何回か遊んでいるうちに面白さがだんだん分かってきて、他の人にも薦めたいと思ったのですが、トリテの中では最大級に複雑で要素の多いこのゲームをどうインストすればいいかいい方法が見つからなかったので実現しませんでした。


この記事はアプリを使ってスカートを遊んでみましょうという趣旨のものです。最低限の要素を説明し、面倒なところはアプリに任せることでハードルを下げることができればと思います。説明していないルールもあるので本格的に遊びたい方はgamefarmトランプゲーム大全などを参考にしてください。


スカートはどんなゲーム?

スカートを簡単に説明するとマストフォロー、切り札ありの3人トリテです。1対2の対決になるので一人で戦うプレーヤー(攻撃側としましょう)が切り札スートや勝利条件を決めます。防御側はそれを阻止するように戦います。


トランプだと2から6のカードとジョーカーを抜いた32枚のデッキを使いますが、スカート専用デッキを使う場合もあります。専用デッキではQはD、JはBになって絵も普通のトランプと違うものになっています。

要素を減らす

ラウンドの流れを書くと↓のようになります。1ゲームで決まった数のラウンドを繰り返して点数が最も高い人が勝者になります。
1. カードを配る
2. 攻撃側になる権利をかけて競りを行う
3. 競りに勝った人が攻撃側になり、ゲームの種類を決める
4. 切り札あり、マストフォローのトリテ
5. 点数計算
6. 次のラウンドの準備

アプリでスカートを選ぶと1, 5, 6は代わりにやってくれるので気にする必要がなくなります。消しましょう。


2. 攻撃側になる権利をかけて競りを行う

3. 競りに勝った人が攻撃側になり、ゲームの種類を決める
4. 切り札あり、マストフォローのトリテ

競りゲームの種類切り札のキーワードが残りました。これらを理解すればゲームを遊べます。アプリの力を借りれば覚えることも最低限で済みます。

おすすめのアプリはこれ(Android)です。iOSでも遊べる無料アプリで、動作はサクサクだし、グラフィックも綺麗。まだまだ初心者の私は一番弱いAIでも十分楽しめています。この記事でもAndroid版を使って説明を進めます。

アプリを起動すると↑の画面が出てきます。New gameを選んでゲームを始めましょう。右上をタップするとSettingsで背景やカードの絵、AIの強さが選べます。Configure rulesで1ゲームのラウンド数を選べます(Number of games per list)。

競り

New gameを選んでゲームを始めると↑の選択画面が出てきます。この画面で攻撃側になる権利をかけて競りをします。上の数字をタップすると競りに参加して相場を上げることができます。降りるときはPassを選択してください。

スカートは攻撃側だけが点数が変わるゲームです。攻撃が成功すると得点、失敗すると失点になります。防御側は攻撃側の成功を阻止して失点させることを目指します。


攻撃側になるに画面の数字をタップし続けて競りに勝てばいいですが、そんなに簡単にはいきません。この数字はゲーム点と言って、攻撃が成功するために最低限必要な目標値になります。あとで詳しく説明するので今は高いほど難しくなるものと思ってください。



競りの画面では↑のようにYesが出るときもあります。スカートの競りはトーナメント式で2人が争うのですが、一人がゲーム点をつり上げて、他の一人がそれに乗るかパスするかです。面倒なことはアプリがやってくれるので、画面のゲーム点で勝負するかパスするかだけ考えましょう。

他の人がパスし、自分が攻撃側になったらゲームの種類を選択することができます。


ゲームの種類

実際ゲームをやりながら説明しましょう。配られた手札は↓

攻撃をしないと点数も得られないので18をタップしてみます。あっさり競りに勝ってしまいました。攻撃側になったら最初にやることはスカートを取るかどうかを選ぶことです。


スカートは32枚のデッキを使い、10枚の手札を3人に配ります。余った2枚をスカート(skat)といい、このゲームの名前にもなっています。Pick up the skatを選ぶと2枚のスカートのカードを取って手札に加えます。こんなカードが手に入りました。


手札を10枚にするために2枚を捨てなければなりません。このようにカードを捨てます。


そして、これからが重要なのですが、攻撃側がゲームの種類を決めます。ここでは切り札スート、トリックを取るか取らないかなどを選びます。選択画面は↓のようになります。


ここまであえて詳しく言わなかったことを説明していきます。スカートの切り札はゲームの種類によって変わります。ゲームの種類は大きく分けて三つあります。

1. スートゲーム
  - ♣、♠、の中から切り札スートを選択してトリックをたくさん取る
  - Bのカードは切り札スートになる
  - カードの強さは
    - 切り札: B♣ > B♠ > B♥B > A > 10 > K > B > 9 > 8 > 7(選択したスート)
    - その他: A > 10 > K > D > 9 > 8 > 7
2. Grand
  - Bのカードだけを切り札にしてトリックをたくさん取る
  - カードの強さは
    - 切り札: B♣ > B♠ > B♥ > B
    - その他: A > 10 > K > D > 9 > 8 > 7
3. Null
  - 切り札なしでトリックを取らないことを目指す
  - カードの強さはA > K > D > B > 10 > 9 > 8 > 7

切り札

試しにスートゲームを選んでみましょう。スートを変えるとアプリが手札を強い順番で並べ換えてくれます。

アプリはカードの強さだけじゃなくもう一つ重要な情報を教えてくれます。スートによってgame valueが変わっていますね。これが競りで使われたゲーム点になります。アプリのgame valueは攻撃に成功したときに得られるゲーム点を表しています。ここで攻撃側がどういう場合に得点、または失点するかをまとめてみます。

1. 攻撃が失敗(ゲームの目的を達成できない)→ 失点
2. 攻撃が成功(ゲームの目的を達成できた)→ ゲーム点を得る
  2.a 得られたゲーム点が競りで決まった値と同じか大きい → ゲーム点の分得点する
  2.b 得られたゲーム点が競りで決まった値より小さい → ゲーム点の分失点する

例えば競りで値を大きくしすぎて、48点で攻撃側になったとしましょう。その場合、どのスートを選んでも得られるゲーム点が小さいので(攻撃が成功しても)失点になる可能性が高いです(そうじゃない場合もあります、攻撃で得られるゲーム点の計算方法は後で説明します)。


ちなみにGrandとNullを選んだらgame valueは↓のようになります。Grandのゲーム点が高い理由は切り札が4枚しかないため、成功(トリックをたくさん取る)することが難しいからです。Nullは手札次第というところもあるのでそれほど点数が高くないです。


競りとゲーム種類の選択は互いに密接に関係しています。

厳密にいうと、スカートは
- 手札を見て
- ゲームの種類と得られるであろうゲーム点を予想して
- 競りでゲーム点をつり上げる
ということをやるゲームです。

最初に配られた手札をもう一度見てみましょう。Bが2枚あって、Aや10も結構持っています。スートゲームをやっても勝てそうです。軽い気持ちで18をタップしたら他の人はおりました。私がBを2枚持っていてAもこれだけあるるということは、他の人は弱い手札を持っているということでしょう。


スカートを交換して↓のような手札にしましたのスートゲームを選びます。を切り札にした理由は枚数が多いことと、他のスートのカードが強いからです。


結果はトリックをたくさん取って攻撃が成功したので18点の得点になりました。トリックをたくさん取ったといいましたが、曖昧な表現です。厳密なルールを説明しましょう。

スカートはカードに点数がついていて、トリックで取得したカードの点数の合計が61以上になったら攻撃が成功したことになります(スートゲームとGrand)。カードの点数は以下のようになります。ゲームの種類に関係なく同じです。

- A: 11点
- K: 4点
- D: 3点
- B: 2点
- 10: 10点
- 9, 8, 7: 0点

ちなみに、配ったあとに残った2枚のスカートカードの点数は攻撃側のものになります。スカートの交換をして捨てたカードも攻撃側の点数になります。

得点計算はアプリがやってくれるので細かいことは任せましょう。繰り返して遊ぶうちに慣れます。


ゲーム点の計算

最後にゲーム点の計算方法を説明します。ゲーム点は基本点と達成点をかけたものです。
ゲーム点 = 基本点 × 達成
1. 基本点
ゲームの種類によって予め決まっている基本的な点数です。
- スートゲーム
  - ♣: 12点
  - ♠: 11点
  - : 10
  - : 9
- Grand: 24点
- Null: 23点

2. 達成点

攻撃が難しいほど上がっていきます(withなど例外あり)。0だとゲーム点がかけ算で0になるので、最低1点はもらえます。他には以下のようなものがあります。
- hand game: スカートの交換をやらない、1点
- with: 切り札の一番強いカードから連続して何枚あるか、枚数分点数がもらえる
- without: 切り札の一番強いカードから連続して何枚欠けているか、枚数分点数がもらえる
- Schneider: 取ったカードの点数が90点以上、1点
- Schneider宣言: トリックを始める前に90点以上取ることを宣言、1点
- Schwarz: すべてのトリックを取る、1点
- Schwarz宣言: トリックを始める前にすべてのトリックおw取ることを宣言、1点
達成点は重複して適用されます(例えばwithとShwarzの点数を一緒にもらうなど)。

アドバイス
私が最初に遊んだときの反省点を書いておきます。攻撃側にならないと得点できないので、ゲーム点を無理に上げて失敗するパターンがよくありました。本来スカートは長いゲームです(通常ラウンド数を3の倍数にすることが多く、48ラウンドやる場合も)。各ラウンドの勝敗は手札次第で決まるため、ラウンド数を多くすることで条件を公平にするためです。攻撃に失敗したら失点が大きいので慎重になることが大事です。手札が微妙かなと思ったら素直にパスしましょう。いずれGrandを決めて大量に得点できるチャンスが来ます。

これで説明は終わりです。スカートはルールが複雑な分、どんな手札でも勝負できる戦略性の高いゲームです。この記事をきっかけに遊ぶ人が増えると嬉しいです。

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