「マイティ」のルール紹介

この記事はTrick-taking games Advent Calendar 2021の19日目のために書かれたものです。

マイティは韓国で遊ばれているトランプを使うトリックテイキングゲームです。日本のナポレオンによく似ているため、日本から伝わったものと考えられます。1970年代にソウル大学で遊ばれていたという記録があり、現在も理系の大学や高校を中心に様々なローカルルールがあるそうです。

この記事はこちらのページのルール紹介の一部を翻訳して紹介しています。すでにトリックテイキングゲームを遊んだことがある方向けに書いたものですのでスート、ランク、トリックなどの用語を説明なしで使っています。トリックテイキングゲームは初めてという方のためにおすすめのリンクをいくつか紹介しておきます。

「スリートリックス」でトリックテイキングゲームをおぼえよう!
トリックテイキングいちにちめ。
トリックテイキングふつかめ。(ビッドについて)

プレイ人数

2人から7人まで遊べますが5人で遊ぶことが多いそうです。ここでも5人用のルールを説明します。

カード構成

- トランプ1デッキ
- スート♠♣♥♦のA, 2~9, J, Q, Kの52枚とジョーカー1枚を使います。

ゲームの目的

プレイヤーは与党チーム(主公フレンドの2人)と野党チーム(その他3人)に分かれて戦います。与党は自分たちの公約を達成しようとしますが、野党はそれを妨害することを目指します。

1ラウンドの流れ

1回のラウンドは下のような流れで進みます。何ラウンド遊ぶかは決まっていないので自由に決めてください(昔はお金を賭けて遊ぶことも多かったそうです)。

1. カードを配る。
2. 与党と野党を決めるチーム分け(選挙)を行う。
3. カードプレイ
4. 点数計算

1. カードを配る

最初のラウンドのディーラーは自由に決めます。次のラウンドからは前回フレンドだった人がディーラーになります。

ディーラーは全員にカードを10枚配ります。これが各プレイヤーの手札になります。残った3枚は伏せたままにします。

配られた手札に点数になるカード(各スートのA, K, Q, J, 10)が一枚も入っていないときはディールミスになってそのラウンドは流れます。ディールミスになったプレイヤーは手札を公開して次のラウンドのディーラーになります。

2. 選挙

カードを配ったあとはディーラーから公約を発表して与党になるための選挙を行います。ゲーム的にいうと与党になるということは攻撃側のチームになるということで、公約とは得点カードを何枚獲得するかを予め宣言することです。

与党チームは自分とフレンドというパートナーの二人で戦います。与党になれなかった3人は野党チームになり、与党チームが宣言した公約を達成できないように妨害します。

ディーラーが切り札と獲得する得点カードの枚数(公約)を宣言
  - 最初は最低13枚を宣言しなければなりません。
  - 切り札は自由に決めることができます(切り札なしでもOK)。
  - 自身がないときはパスしてもいいです。
  - パスしたら選挙に参加する権利を失います。

ディーラーが公約を発表するかパスしたら反時計回りに次のプレイヤーがそれより強い公約を発表するかパスします。

反時計回りにより強い公約を宣言するかパス
  - すでに宣言された公約より獲得カード数が多くなるように宣言します。
  - 切り札は自由に決めることができます(切り札なしでもOK)。
  - パスしたら選挙に参加する権利を失います。

選挙は一人のプレイヤーを除いて他のプレイヤーがすべてパスするまで続きます。すべてのプレイヤーがパスしたときはディーラーの右側の人が次のディーラーになって新しいラウンドを始めます。

選挙でもっとも高い公約を宣言したプレイヤーが与党の主公になります。主公は配られていない3枚のカードを手札のカードと交換することができます。3枚のカードを手札に入れて、自由に3枚のカードを選んで伏せたまま戻します。

カードの交換が終わったら主公の人は切り札スートを変えることができます。切り札スートを変える場合は公約の点数カードの枚数を2つ上げます。

次は主公を手伝ってくれるフレンドを選びます。主公の人は"♣の10"や"♠のA"のように、カードを一枚宣言します。宣言されたカードを持っているプレイヤーが与党チームのフレンドになります。主公は自分が持っているカードを宣言することもできます。その場合は与党チームは主公一人になります。

フレンドの人は宣言されたカードを出すまで自分の正体を隠さなければなりません。

3. カードプレイ

選挙によって切り札と獲得する点数カードの枚数が決まりました。あとは他のトリックテイキングゲームと一緒で各プレイヤーがカードを一枚ずつ出してトリックの勝負をします。手札の枚数が10枚ですので1ゲーム10トリックの勝負になります。最初のトリックは主公の人がリード(最初のカードを出す)します。

1トリックの流れ

  - リードプレイヤーがカードを1枚出す。
  - リードプレイヤーはどのカードでも自由に出すことができる。
  - 反時計周りに各プレイヤーがカードを1枚ずつ出す。
  - リードプレイヤーが出したカードと同じスートのカードを持っていたら、
    その中から一枚を出さなければならない(マストフォロー)。

みんな一枚ずつカードを出したらもっとも強いカードを出したプレイヤーがそのトリックの勝者になってみんなが出したカードを獲得します。

もっとも強いカードとは

  - 同じスートではAがもっとも強くて, K, Q, J, 10, 9, ..., 2の順で弱くなります。
  - 切り札のカードが出ていれば切り札の一番強いカードが勝ちます。
  - 切り札が出てないときはリードカードと同じスートの一番強いカードが勝ちます。

ここまでをトリックテイキング用語を使って短くまとめると「切り札あり、マストフォロー」のゲームになります。与党が公約で切り札を宣言しなかったときは切り札のルールは適用されません。

このゲームにはマイティジョーカーという特殊なカードがあって、今まで説明したルールを無視したり、強さが変わることがあります。

マイティ

  - 通常は♠のAだけど、切り札が♠のときはのA(赤いマイティと呼ばれる)。
  - マイティは他のすべてのカードに勝つ最強カード。
  - スートは♠やのままなので切り札スートには入らない。
  - マイティのスートじゃないカードでリードされたら、
    マストフォローのルールを無視して出すことができる。 

ジョーカー

  - トランプのジョーカーのカード
  - 最初のトリックと最後のトリックでは最弱で、
    他のときはマイティに続いて2番目に強いカードになる。
  - スートがないのでマストフォローのルールを無視して好きなときに出すことができる。 
  - リードで使うときはマストフォローするスートを指定する。

ジョーカーの効果を無効にして最弱にするジョーカーコールというルールがあります。

ジョーカーコール

  - リードのときに♣の3を出してジョーカーコールを宣言する
    (切り札スートが♣のときは♠の3でジョーカーコールを宣言する)。
  - ジョーカーコールが宣言されたらジョーカーを必ず出さなければならない
    (同時にマイティをもっているときは代わりにマイティを出すことができる)。
  - ジョーカーコールで出されたジョーカーの強さは最弱
  - ジョーカーコールは任意なので♣の3、♠の3でリードしたときに宣言しなくても良い。

トリックの流れや勝負の判定は以上です。勝者がトリックに出されたカードをすべて獲得して、次のトリックをリードします。10トリック戦って手札がすべてなくなったら点数計算に移ります。

4. 点数計算

得点の方法はいろいろあるようですが、ここではもっとも簡単なものを採用しました。

与党チームが公約を達成した

  - 主公の得点:(獲得した点数カードの数 - 10)×2点
  - フレンドの得点:(獲得した点数カードの数 - 10)点
  - 与党が点数カード20枚をすべて獲得したときは点数が2倍になる(ラン、run)。
  - フレンドがいなかったときの得点が2倍になる。
  - 野党の失点:フレンドの得点と同じ点数(ランのときは2倍)

与党チームが公約の達成に失敗した

  - 野党の得点:(公約した点数カードの数 - 獲得した点数カードの数)
  - 野党が10枚以上の点数カードを獲得したときは点数が2倍になる
    (バックラン, back run)。
  - 主公の失点:野党の得点の2倍(バックランのときは4倍)
  - フレンドの失点:野党の得点と同じ点数(バックランのときは2倍)

次のラウンドの準備、ゲーム終了

今回フレンドだった人が次のラウンドのディーラーになります。ゲームの終了条件は決まっていないので、プレイヤーの人数分遊ぶなど、事前に決めておくといいと思います。

ローカルルール

マイティは一部高校や大学を中心に遊ばれているらしく、学校毎のローカルルールが存在します。ここではその一部を紹介します。

成均館大学

  - フレンドが点数カードを獲得したらフレンドであることを公開しなければならない。
  - 公約の宣言が12枚から。
  - 主公が切り札を変えるときに公約の枚数を2つ上げなくても良い。
  - ジョーカーが最初や最後のトリック、
    ジョーカーコールされたときでも2番目の強さになる。

ダブルジョーカーマイティ

  - ジョーカーを2枚(黒と赤、ないときは適当に決める)使う。
  - 配り残りの4枚と手札を交換する。
  - 黒いジョーカーのコールは♣の3(切り札が♣のときは♠の3)
  - 赤いジョーカーのコールはの3(切り札がのときはの3)
  - ジョーカーは同じ色のスートをフォローする。
  - ジョーカーでリードするときは同じ色のスートを指定する。
  - トリックにジョーカーが2枚あるときは先に出されたものが強い。

仁川科学高等学校

  - 誰かが切り札でフォローするまでは切り札でリードすることができない。

他にも色んなローカルルールがあって、ここで基本ルールとして紹介しているものも統一されたものではないようです。日本の大富豪と同じ感覚ですね。

今年は転職で韓国の会社で働くことになってボードゲームを遊ぶ機会が減りました。それでもdiscordやBGAを使ってオンラインで遊ぶことができて、相変わらず付き合ってくださってる方々にはいつも感謝しております。

今年も大変な一年でままならないことも多かったと思います。韓国は来年に向けてウィズコロナを目指していますがまだ厳しい状況が続いています。それでも今年は去年より少しよくなっていると思う部分があって、来年は今年よりもよくなると良いなと期待しています。

来年は日本でお会いできるといいですね。メリークリスマス&良いお年を!






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