ハーツとスペードでわかるトリテの遊び方

この記事はTrick-taking Games Advent Calendar 2018の21日目のために書かれたものです。

はじめまして、とりっくまです。少し前からボードゲームにハマり、その中でもトリックテイキングゲーム (以下、トリテ)をよく遊んでいます。毎年楽しみにしているアドベントカレンダーに、今年は自分でも記事を書いてみることにしました。

twitterを見てるとトリテが苦手という方が結構いて、多くの場合が専門用語が分からない、どうカードを出せばいいのか分からない、といったものです。専門用語に関しては他の方々が記事を書いてくださってるのでそちらにお任せするとして、この記事ではトリテの遊び方についてお話ししたいと思います。

対象はトリテをやったことがない、ゼロからの初心者です。長い記事になるので、まずはハーツの説明まででも大丈夫です。続くスペードはそれに少し要素を足した応用編になりますのでハーツに慣れてきたら読んで見てください。

トリテについて簡単に説明することから始めましょう。普通のトランプカード (ジョーカー抜きの52枚)を使います。

トリテとは?

トリテのゲームはプレーヤー全員が同じ枚数の手札を持って、時計回りの順番に手札からカードを一枚ずつ出します。みんながカードを出したら数字を比べて勝負をします。ここまでの流れをトリックといいます。

トリックの最初にカードを出す人は手札のどのカードでも自由に出せます。しかし、そのあとは最初に出されたカードのスート (、♣、♠)による縛りがあります。次の人は最初のカードと同じスートのカードを持っていれば、その中のどれかを出さなければなりません (これをマストフォローといいます)。持ってないと縛りから抜けることができます。そのときはどのカードでも自由に出せます。

みんながカードを出したらトリックの勝者を決めます。数字が一番大きい (A、K、Q、J、10,9、...)人が勝ちますが、勝負に参加出来るのは縛りを守っている人だけです。縛りから抜けた人はどれだけ強いカードを出しても勝者にはなれません。勝った人が場に出てるカードを全てもらい、次のトリックの最初にカードを出します。

このような勝負を手札の枚数分やって、勝ったトリックの数やもらったカードの枚数を争います。トリテは共通するルールが多いので、一つのゲームを知っておくと他のゲームも簡単に理解できるようになります。

はじめてのトリテ: ハーツ

初心者におすすめのトリテと聞かれたらよく名前が挙がるのがハーツです。ルールは簡単で、
  • 4人用、個人戦、手札は13枚、13回の勝負を行う (1ラウンド)。
  • トリックに勝ってのカードをもらったら一枚につき-1点。
  • ♠のクイーン (以下、♠Q)をもらったら-13点。
  • 誰か-100点になったら終了、一番点数が高い人が一位。
というものです (ここでは必要な部分だけ説明しています。詳細なルールはここを見てください)。点数はすべてマイナスなのでなるべくや♠Qのカードをもらわないことを目指すゲームです。

ここからはスマホのアプリを使ってハーツをプレイしてみましょう。私が持ってるのはAI FactoryのHearts (Android OS)です。ゲームを始めるとカードを3枚選び、左隣に渡します。右隣の人から3枚渡されるので手札の枚数はそのままです。


ここで私はA、J、2を左隣の人に渡しました。AやJみたいな強いカードで勝負したら勝ってしまうので大量のをもらうかも知れないからです。2を選択したのはのスートのカードを手札からなくすためです (このようなテクニックをスートを枯らすといいます)。トリテのルールでは縛りを守らないと勝負に参加できないのでをもらわずに済みます。これで縛りがある勝負なら必ず負けるようになるはずです。


右隣の人から♣J、♠J、♠Kを渡されました。のカードが来なくてよかったです。狙い通り。最初のトリックは必ず♣2を出して始める決まりなので、このラウンドは私からカードを出します。


さすがに最初はみんな♣のカードを持ってました。勝ったのはSarah。次のトリックは勝者のSarahから始まります。


2回目はRobの勝ち。3回目は♠の縛りがありますがSarahは♠を持っていないらしく、回カードを出してきました。このトリックで勝ってしまうとをもらうので負けたいですが、手札のカードが♠5より強いものばかり。Billがどのカードを出すか分からないので下手に♠6、♠10を使いたくないです。ここは諦めて勝つことにしました。どうせ勝つなら一番強いカードを使ってしまおうと思って♠Kを出します。

そのあと、BillはAを出しました。Billも♠を持ってなかったのです。ここは私が必ず勝つ勝負だったので強いカードを処理できてよかったと考えます。


私からですが、8を出しました。結構強いカードなので勝ってしまうかもですが、手札ののカードを減らしたかったです (あと運がよければ...と思って)。BillがJを出して勝ちましたので失点せずに済みました。実はBillはこの時点でJしかを持ってなかったので出さなければならなかったのです。このように縛りをうまく利用して、相手のカードを強制的に出させるのもトリテの面白いところです (いい結果になるかは運次第なところもあります)。


はもうないし、も弱い1枚しかないのであとは安心して進められます。Billがのカードを出してきましたがスートが枯れてて縛りを守れないので勝負に勝つことはありません。♠Q (-13点)を差し込みます。

Sarahものカードを出してきたので♠10を出して負けました。このように絶対負けるときには強いカードを捨てるか、スートを枯らしておくとそのあとの展開が楽になります。


そのあともすでに枯れている縛りが続いたので勝負に参加せずカードを出すだけの展開になりました。終わってみれば序盤の2点以外は失点することなく一位です。

トリテに共通して言えるテクニックはスートを枯らすことで縛りから抜け、ゲームを支配することです。ハーツの場合は枯れたスートから始まったとき、他の人にや♠Qを取らせて失点させることができます。

あとは逆に縛りのルールをうまく使うことです。♠Qは失点が大きいのでみんなが弱い♠でトリックを続けて♠Qを強制的に出させる展開もよくあります。

ここまでがハーツの話になります。いかがだったでしょうか。ここでお話したことが全部正しいわけではなく、相手の手札や状況、運によってうまくいく時もあれば失敗する時もあります。それも含めて楽しんでいただければと思います。ハーツは単純なゲームですが、繰り返して遊ぶことで新しい発見があり、自分なりの戦い方を見つけることでゲームが更に楽しくなります。

次はスペードというチーム戦のトリテをご紹介します。ハーツにはなかったビッドと切り札という要素が登場します。

チーム戦の定番: スペード

スペードも4人用のゲームで対面に座る2人がペアになって2対2のチーム戦をやります。ゲームの流れは、
  1. 13枚の手札を見て、何回勝てるか予想する (この予想をビッドといいます)。
  2. 13回、トリックの勝負
  3. 点数計算
になります (詳細なルール説明はここを見てください)。ハーツと違って勝つことを目指すゲームです。

スペードには切り札という、新しいルールがあります。切り札とは他のスートより強いスートのことです。スペードの切り札は♠で固定です。

ハーツではスートの縛りを守らないプレーヤーは勝負に参加することができませんでした。しかし、スペードは♠のカードを出すことで縛りを守れなくても勝負に参加することができます。

縛りを守れないときに他のスートを出すと勝負に負けると言いました。しかし、このとき切り札を出したら切り札のカードが勝ちます。具体的な例をアプリを使って説明します。重要なことなので繰り返しますが、縛りのスートと切り札のスートを両方持ってるときは縛りを守らなければなりません。切り札が使えるのは縛りから抜けられるときだけです。

ハーツと同じ会社のアプリを使って遊び方を説明します。リンクはこちら


Robとペアを組んで、Bill、Sarahチームと戦います。ラウンドの最初に手札を見て自分が何回勝てるか予想 (ビッド)します。切り札の♠K、♠Q、♠Jは出したらほぼ勝てるので3回以上は勝てるでしょう。他にも♣AやKがあるので+2回は勝てるんじゃないかなと思います。5回と宣言。


Robは2回と宣言したので合わせてチームで7回勝たなければなりません。最初はトリックはSarahからの♣縛りです。予定通り♣Aを出して勝ちました。

次は♣を枯らすために♣5を出しました。Robが勝ってくれました。私はこれで♣縛りのときに切り札の♠が出せるようになりました。


そんなことを思っていたらRobが♣を出してきました。切り札♠を出して勝つこともできますが、Robが強いカードを出してきたので勝ちたいんだと思います。ここは弱いカードを出して勝利を譲ります。

次はRobから縛りです。パートナーからいいパスが来たのでKを出して勝ちました。順調。


次のトリックはを枯らそうと思って2を出して負け、次の縛りでも要らないカードを捨てました。しかしこのトリックをRobが勝ってしまって予想より多く勝ってしまいそうです。スペードはなるべく予想通りに勝つことが重要なので、私の方で1回分少なく勝つように調整します。


次は縛りですが、Sarahはもう♦を持ってないのか切り札を出してきました。なので縛りを守っても勝てません。10で勝つつもりじゃなかったので逆に助かりました。

そのあとBillが♠Aを出してきました。Robが1回多く勝っているので勝ために取っておいた♠Kをわざと出して負けます。



そのあとは負け続け、最後に♠Q、♠Jを出して2回勝ちました。切り札を最後に出した理由は、切り札で一番強い♠A、♠Kがすでに出てるので、♠Qと♠Jで確実に勝てると分かってたからです。なので残り手札を負けるときに捨てて、最後に勝つ戦い方をしました。

どのカードが出てるか/出てないかを覚えておくと、より戦略的な勝負ができます。このようなテクニックをカウンティングといいます。すべてのカードを覚える必要はなく、一番強いカードだけ覚えておくだけでもかなり役に立ちます。もちろんやらなくても問題ありません。

ラウンドが終わり、Robと合わせて宣言通り7回勝ちました。相手チームは宣言より1回多く勝っています。

スペードの得点計算は、
  • 宣言以上に勝ったとき: 宣言数×10点+余分に勝った回数×1点
  • 宣言より少ないとき: 宣言数×-10点
です。余分に勝った回数は蓄積され、10になったら-100点なのでなるべくぴったり勝つことが重要です。今回は調整がうまく効いて相手を余分に勝たせることができました。

スペードのようなチーム戦の面白いところは自分のミスをパートナーがカバーしてくれたり、パートナーのやりたいことを汲み取って勝利を譲ったりするカードを使ったコミュニケーションです。トリテに慣れてきたらぜひ遊んでほしいゲームです。

長い記事に付き合ってくださってありがとうございます。この記事を読んでトリテに興味を持ってくださる人がいて、来年どこかで一緒に遊べる機会があれば嬉しいなと思います。

それではみなさん、メリークリスマス、良いお年を :)

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